樹安の日々インスピレーション

日々の生活の中での気づきを、徒然なるままに

いまを生きる君たちに捧ぐ

私は以前、学校の先生をしていました。子供が生まれたのがきっかけで先生を辞めてしまったのですが、いろいろな場所で当時の教え子たちにバッタリ出会うことがあります。

ある時はお店の店員さんとして、ある時は同じママ友やパパ友として、またある時はうちの子がお世話になる保育園の先生として、彼らが元気そうにしている姿…元教師としては、彼らがたくましく成長して活躍している姿にホッとし、またうれしく思ったりもします。

教え子の中には、今でいう発達障がいの子や、トランスジェンダーで悩んでいた子、複雑な家庭環境の子もいました。卒業以来(中には中途退学の子もいますが…)しばらく会っていない彼ら、元気にしているのだろうか…時々思いを馳せることもあります。

 

そして、私には今でも忘れられない教え子がいます。

彼は普段は明るい男の子、仲間のムードメーカーのような子でした。私とも気軽に会話を楽しんでいましたが、彼はたまに「俺、実は死にたいんだよねー」と軽い調子で言っていました。あまり深刻な様子ではなかったので、私は「そんなことを軽々しく言うんじゃないよ!」と返して終わりにしていました。

ある日いつものように彼と話していた時、彼は急に深刻になって「先生、俺は本当に死にたいんだよ。どうすればいいの?」と私に言ってきました。担任の先生に許可をもらい、彼の話をじっくり聞いてみると…彼、実は地元の友達からひどいイジメを受けていたんです。

 

細かいことを書くのは差し控えますが、度を超えた行為の数々…基本は心根の優しい彼、親にも先生にも誰にも言えず、地元の友達にやり返すこともできず…もう心も体も限界を迎えているのがわかりました。

彼の担任の先生や学校の仲間、親御さんの協力のもと…彼を地元の友達から守るために、みんなでできることはやりました。それからは地元の友達とも離れ、落ち着いて学校生活を送ることができ、やがて彼は無事に卒業することができました。

 

彼のように、人知れずイジメで悩んでいる子、今もどこかにいるかもしれません。まだまだ不安定な若者…狭い世界の中で追い詰められると、自ら命を絶つという最悪の判断をしてしまう可能性もあります。

でも、そこから無事に抜け出した後で振り返ってみると、自分がいかに狭い世界の中で苦しんでいたか?が、よくわかると思います。私たちが思っている以上に、世界は広いです。

もしあなたが人知れずイジメで悩んでいたら、まずは誰かに打ち明ける勇気を持ってください。そこから必ず道は開けます。

人生…きっと楽しいことが、これからたくさん待っています。働いて得たお金を自由に使える解放感、仲間と酒を酌み交わす楽しさ、心から愛する人との幸せな時間、自分の子どもが生まれる瞬間の感動、子どもの成長を見届ける喜び、歳とともに人生をしみじみと振り返る気持ち…

いまを生きる君たちへ。生きている喜び…日々の中でたくさん味わうことができますよ!どうか、与えられた命の限りは、人生を大いに楽しんでください。

 

その後、例の彼からは音沙汰ありませんが…どこかで元気に暮らしていることを願います。

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