樹安の日々インスピレーション

日々の生活の中での気づきを、徒然なるままに

トワイライト

今年は台風の影響で、紅葉などの秋らしさというものを味わうことがないまま、早くも冬の陽気になってしまいました。

寒くなってくると、夕方から夜にかけての日暮れの時間帯が、寂しいというか、何とも言えない切なさに襲われるんです。

日が暮れる。1日が終わる。

何かが終わる時の喪失感のようなものを、日暮れとともに感じるから、切ない気持ちになるんですかね。

 

日が暮れるとともに、空には星が瞬き、月も顔を覗かせます。街にも灯りがともり始めます。

夏であれば、そこまで寂しい気持ちは込み上げないかもしれません。夏の夜は、花火とかのお楽しみもありますし。

やはり、冬の寒さがそうさせるのかもしれません。早く家に帰って暖かいものを飲みたくなったり。

 

私は寒いのが苦手です。だから、基本的に冬は嫌いです。

でも、冷えきった体に流し込む温かい飲み物の、何と美味しいことか。

冬の澄み切った空気の、何と清々しいことか。

冬という季節は、私たちの五感を大いに刺激してくれるのかもしれませんね。

 

昔見た大好きな映画のひとつに「ベルリン・天使の詩」という作品があります。

映画の前半はモノクロームの世界です。主人公はそこそこのオッサンですが、背中に羽根が生えている天使です。空から地上の人間たちを見守っています。

この天使のオッサン、ある人間の女性に恋をしてしまいます。天使は人間からは見ることができないし、天使から人間に話しかけることもできません。

天使のオッサンは、彼女に会うために天使を辞めて、人間界に降りる決意をします。一度人間界に降りたら、二度と天使には戻れません。それでもオッサンの決意は固く…実際に人間界に降りてきました。

 

…すると、モノクロームの世界が一気に鮮やかなフルカラーの世界に変わるのです。

季節は冬。天使の時には感じなかった寒さ…元天使のオッサンは感激して、寒さを存分に味わいます。

白い息を吐いてみる…ハァー、楽しい!

露店で売っていたホットコーヒーを飲んでみる…熱っ、美味い!

元天使のオッサンは、人間になったからこそ得ることのできた、色鮮やかな「感覚」を存分に楽しみます。

そしていよいよ、お目当ての女性のところへ行きます。最初は変な目で見られ、叶わぬ想いに苦しみながらも、やがて彼女との恋を成就させ、想いが通じ合う喜びを知るのです。

 

やはり、冬という季節は私たちの五感を大いに刺激してくれます。だからこそ、冬の夕暮れ時に切なさが込み上げてくるのかもしれませんね。

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