樹安の日々インスピレーション

日々の生活の中での気づきを、徒然なるままに

好き嫌いは、無理せず少しずつ…

私は子供の頃、野菜をほとんど食べることができませんでした。辛うじて食べられたのは、ジャガイモやキャベツなど。うちは農家で新鮮な野菜が食べられるのに、何てもったいない、何て親不孝なの…と、よく親に言われていました。

 

子供の頃のある日…学校から帰ったら、食卓に半分に切ったトマトが置かれていました。母親に「これを食べなければ、今日の晩ご飯は無しだよ!」と唐突に言われました。

突然の展開にかなり戸惑いましたが…仕方ないです。ものすごく嫌でしたが、そのトマトを食べてみました。…やはりおいしくない、気持ち悪くて飲み込めない…オエ、グエッ。あまりのマズさに、目には涙が溜まってきました。

さすがに母親も観念して、もういいよ…とあきらめました。その日以降、無理に野菜を食べさせられることは無くなりました。

 

別のある日…私と兄が揃って風邪を引いてしまった時のこと。母親が、何やら今までに見たことのないものを作って、私たちが寝ている部屋に持ってきました。それは温かいスープのようなもの、ひと口飲んでみたら…おいしい。何だか元気が出るような、それでいて体が温まります。今思えば、それは細かく刻んだ野菜が入ったコンソメスープだったのですが、その初めて飲む味…こんなものがあるんだ!と強く印象に残りました。

子供ながらに、これなら野菜がおいしく食べられる!と思ったのですが…その日以降、残念ながら食卓にそのスープが出ることは一度もありませんでした。

 

やがて私は大学進学とともに上京し、一人暮らしを始めました。日々食べていくには、何とかして毎日料理をするしかありません。家にいた頃は全て母親がやっていたので、料理は全然できませんでしたが…見よう見まねで何とか毎日作っていました。

その時に密かに思ったこと…自分で食べられそうな野菜を、少しずつ食べてみようかな、と。

実際に自分で料理をしてみたら、自分なりに野菜をおいしく食べる方法が段々とわかってきました。ニンジン、タマネギ、ナス、ピーマン…食べられる野菜も増えてきました。

一方で、最後まで食べられなかった二大野菜…ダントツのNo. 1はキュウリ、No.2は因縁のトマト。キュウリとトマトに共通するのは青臭さ。ちょっとでも青臭さを感じてしまうと、もう受け付けず…結局、学生時代には克服できませんでした。

 

そして今…お勤めしている保育園で毎日給食を食べています。当然メニューによっては、トマトやキュウリも入ってきます。

あれから大人になり、トマトは何とか食べられるようになっていたのですが…キュウリだけは未だに食べられません。でも、いい大人が子供たちを前にして、好き嫌いなんて言っていられません!キュウリの入った春雨サラダを、試しにひと口…ん?食べられるかも!もうひと口。大丈夫!一緒に和えてあるリンゴの風味で誤魔化されたのか?何とか食べられました。うっすら青臭さは感じますが、まぁガマンできるレベルです。

その後も、キュウリの入ったマカロニサラダやポテトサラダ、酢味噌和えなど、次々に克服!キュウリの浅漬けなど、キュウリそのものはまだダメですが、それでも今までに比べれば格段の進歩です。やったー!最大のラスボス、キュウリをちょっとだけ克服できました!素直にうれしい!給食に感謝です。

 

私は思います。好き嫌いは、無理せず少しずつ克服できるのです。子供の頃母親にされた荒療治は、はっきり言って全く意味がなかったと思うし、クセを和らげておいしく食べる方法はいくらでもあります。

今となっては、トマトは加熱することでダシ代わりにもなることとか、キュウリの青臭さも時には料理のアクセントになることとかも分かり始めています。

うちの子供たちも、好き嫌いはかなりありますが…少しずつ、食べられそうなものから食卓に出してみようと思います。せっかくの自然の恵み。大地の恵み。これからもおいしく、いただきますよ!

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