下の息子の同級生、小学2年生のA君のお話。
放課後の教室で、とある同級生の防災頭巾を取った、取らないで、A君とB君がケンカになりました。私はモタモタと帰り支度をしている息子の様子を見ながら、その2人のやりとりを見守っていましたが…結局、どっちもどっち。たわいもないケンカだなぁ…と思っていました。
間もなくして、担任の先生がやって来ました。ケンカをしている様子を見て、どうしたの?と2人に聞くと、A君とB君がそれぞれの主張を先生に話し始めました。
そして先生は、A君だけに向かって何やら話を始めました。つまり…先生は無意識に、A君を悪者にしてしまったのです。
自分が悪者にされたと思い、A君は必死で弁解をしますが…先生の後ろには、してやったりのB君がいました。
こうなると、A君の気が収まりません。俺は悪くない!の一点張り。先生も慌ててA君のフォローをしますが、一度悪者にされた事実はA君の中に残っていて…B君もさすがにA君を心配し始め、声をかけていました。
やがてA君のママが迎えに来ました。ホッとしたA君、ママになだめてもらい、やっと落ち着いて帰っていきました。
…と思ったら、A君はすぐに教室に戻ってきました。迷惑をかけたB君に謝りに来たのだそう。B君にごめんなさいをして、ようやくA君親子は家路につきました。
このA君は、優しすぎる性格の持ち主です。落ち込んでいる友達や泣いている友達を見つけると、真っ先に駆け寄って、慰めてくれます。
だから今回も、自分が落ち着いた後で、イライラをぶつけてしまったB君のことが気になったのでしょう。だから謝りに来たのだと思います。
でも…今回、A君が謝る必要は全くなかったと思います。逆に、最初に犯人扱いされたことや、B君にうまくしてやられたことに対して、怒っていても全然大丈夫なはず。なのに、A君は自分のことを差し置いて、B君に謝ったのです。
A君は、ある意味で「いいひと」です。自分が気持ちを我慢して解決するのなら、それでも構わない…と思っているのかもしれません。
でも、この「我慢」が蓄積されていくと、その人の自己肯定感をものすごく低くしてしまうのです。自分は相手のために我慢をしていても、相手はそこまで思っていない場合がほとんど。そこまでして自分を下げる必要は全くないのです。
こういう人がそのまま大人になってしまうと、健全で対等な人間関係を築くことができなくなります。私自身がまさに、この経験をしてきているのです。人間関係をうまく築けずに、今まで何度も何度も苦しい思いをしてきました。
だから、A君がまだ子供である今のうちに、自分を大切にすること、自分の権利を主張すること、自分を下げる必要なんて全くないことをA君に伝えたいのです。
「いいひと」を続けていても、結局自分が損をするだけなのですから。
でも…これはA君がいろいろなことを経験して、ひとつひとつ乗り越えて、その上で覚えていくこと…なのかもしれませんね。
同級生のママとして、陰ながらA君を見守りたいと思います。