樹安の日々インスピレーション

日々の生活の中での気づきを、徒然なるままに

早期療育の重要性

新型コロナウイルスの感染拡大防止策として、外出制限が続いています。子供中心の生活をしている我が家、学校はお休み、習い事も軒並み休止の中で、ホースセラピーだけはずっと開業してくれています。家籠り生活で運動不足気味の子供たちにとって、体を動かすいい機会になっています。

 

ホースセラピーの施設にいるのは2頭の道産子。つまり、1回のセッションで2組までは同時に行うことができます。

今日、娘のセッションの時間に一緒になったのは、初めてお会いする高校3年生の女の子。遠い街から、はるばる2時間かけて通ってきている子でした。

彼女はカナータイプと呼ばれる、重度の自閉症です。言葉が全く出ずに、発するのは唸り声のみ。でも、その声のトーンとか、身振りとかで、彼女が何をしたいのか?が、ある程度は理解できます。

最初の挨拶のとき、彼女は初対面であるうちの娘を正面から見ることができませんでした。でも、耳だけは傾けてくれていたようで、返事はしてくれました。

その後も馬装と呼ばれる準備段階では、まだまだ自分の殻に閉じこもりがちだった彼女。でも、いざ馬に乗るときにはすっかり乗り気になり、実に楽しそうにしていました。約1時間たっぷりとセラピーを楽しんで、帰る頃には雰囲気にもすっかり慣れて、私たち親子にも大きくバイバイをしてくれました。

 

重度の自閉症であるカナータイプの子に、私は久しぶりに会いました。言葉が出ない中で、自分の意志を懸命に伝えようとする姿を見ていると…まだ幼かった頃の娘の姿を思い出します。

まだ幼稚園に通っていた頃の娘は言葉が出ず、場の雰囲気にもなかなか馴染めずに、何をするにも時間がかかりました。何をするにも、娘の気持ちを待つことがとても多かったのです。

でも、娘は比較的早い時期に、定期検診で発達の遅れを指摘されました。その当時はかなりショックを受けましたが、早期段階で娘の障がいに気づけたことと、同時に療育をスタートできたことで、娘は劇的に成長しました。今もこだわりは残っているものの、日常生活を送る分には何ひとつ不自由はありません。

 

子供たちがセラピーをしている間に、彼女のママと少しだけ話をしましたが、彼女の住む地域はあまり療育機関がないのだそうで…早期段階では療育に取り組めなかったのだそうです。

彼女のママと話をしながら、私はこんなことを思いました。もし娘が幼い頃から療育を受けていなかったら、もしかしたらカナータイプの自閉症だったのかもしれない…と。だって今日見た彼女の姿が、あまりにも幼い頃の娘と重なっていたのですから。

今日の2人のセッションしている姿は、ある意味で対照的でした。ある程度自分で馬に乗れる娘と、まだまだ支援が必要な彼女。でも、性質的に2人に似たものを感じた私…一概に比較はできませんが、早期療育の有無が、もしかしたら発達に大いに関係しているのかもしれない…そんなことを思いました。

我が子の発達の遅れをなかなか認められない親も多いのですが…早い段階で我が子の発達の遅れを認めて、なるべく早い段階で療育に取り組めば取り組むほど、子供は劇的に成長するんですよ!

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カナータイプの自閉症の方で、東田直樹さんという方がいます。彼は今日の彼女と同じように言葉を持たず、基本的には唸り声のみですが、パソコンに文字を入力することによって、彼の思いを言葉にすることができます。今や本を何冊も出版している、ベストセラーの作家さんです。

彼が語る、自閉症当事者の思い。言葉は出なくとも、内面には豊かな精神世界が広がっているし、まわりで起きていることもよく理解しています。ただ、表現する術がないだけ…それだけのこと、なのです。

今日出会った彼女が、今後どんな人生を歩んでいくのかはわかりませんが…彼女のことを理解してくれる人たちに囲まれて、困ったり苦しむことなく、心豊かに過ごせるといいな…と願っています。