樹安の日々インスピレーション

日々の生活の中での気づきを、徒然なるままに

原点であるはずの場所

私には、発達障がい児の母親として原点と言える場所があります。

「発達障がい児・者応援団」を謳うその団体…そこにいたのは、私と同じような発達障がい児の母親、療育施設の先生方、行政関係者など。

様々な立場の人たちが集まって、発達障がい児が暮らしやすい社会を目指して活動しているその団体…自分の子供に発達障がいがあるとわかった当時はものすごく助けられたし、多彩なイベント等もあって、とにかく活動が楽しかったのです。

 

発達障がい児…時には困難に直面することもあります。特に幼稚園や学校でお友達とのトラブルに巻き込まれたり、逆にこちらが加害者になってしまうこともあります。また、こちらの主張がなかなか先生に認めてもらえない場合もあります。そんな時に、この団体の仲間たちが拠り所となってくれて、苦しい気持ちを分かち合うことができました。幅広いネットワークのおかげで、関係機関にうまくつないでもらえる場合もありました。

 

数年前、団体の代表であるAさんの息子さんが、学校の先生との間に起きたトラブルに巻き込まれました。先生の過失により事故が起きてしまい、息子さんが重傷を負ったのですが…その事実を隠蔽し、先生が責任逃れをしていたのです。その当時は、仲間のピンチにみんなで声を上げ、みんなで戦いました。そして、当事者である先生に謝罪をしてもらうところまで持っていくことができたのです。

 

その後Aさんは、団体の活動に加えて、地元の小学校でスクールカウンセラーとして働き始めました。直接学校と関わることで、発達障がい児が抱える問題により深く関わることができる、という目的があったのだそうです。

しかし…とある親御さんから、驚くような話を聞きました。

 

多動系の発達障がい児であるBちゃんは、入学したばかりの小学校でひどいイジメに遭っていたそうです。Bちゃんの強すぎる個性がうまく受け入れられなかったようで、上級生に目をつけられ、背中にカレーを塗りたくられたり、トイレのドアを開けられたり、暴力を振るわれるのも日常茶飯事だったそうです。支援級の担任の先生に相談しても信じてもらえず、逆にBちゃんが嘘をついていると疑われてしまったのだそうです。

困り果てたママは、その学校のスクールカウンセラーであるAさんに相談したのだそうですが…残念ながらAさんは、学校の先生側の立場に立ってしまい、ママの話を信じてくれなかったのだそうです。

Bちゃん本人は、私が我慢すれば解決するから、と思ってしまったそうですが…ママはBちゃんのために、Bちゃんを信じて戦いました。いろいろな機関に相談し、解決方法を探っていきました。そのおかげかどうか?はわかりませんが、今はイジメっ子たちとは別のクラスになり、担任も変わり、やっとBちゃんは落ち着いて学校生活を送れるようになったそうです。

本当によかった…でも、壮絶なイジメ体験はBちゃんの中に深く深く、トラウマとなって残ってしまっていると思います。

 

私はこの話を聞いて、代表のAさんに対して幻滅しました。だって、ご自身も先生との関わりで苦労をした経験があるのに、なぜBちゃんの苦しみをわかってあげられなかったのか。なぜママの話にもっと耳を傾けてあげられなかったのか。

下手にスクールカウンセラーになってしまったが故に、Aさんはいつのまにか「先生側の立場」で考えるようになってしまったのかもしれません。Aさん本人が気づかないうちに、原点にあるはずの大事な部分…「発達障がい児・者応援団」という立場がブレてきてしまったのかもしれません。

 

今回は代表のAさんだけではなく、団体スタッフの方も先生の立場を擁護していたそうです。その理由は、そのスタッフの息子さんがかつて、その先生にとてもお世話になったから…あの先生がそんな対応をするはずがない、ママの先生とのつきあい方にも問題があるのでは?と延々話をされてしまったのだそうです。

代表の方も、スタッフの方も、それぞれの立場や経験から得た考えや想いはあるかもしれません。それでも、私がこのママから聞いた話は緊急事態と言える状況であり、Bちゃんの今後の学校生活、今後の人生に大きく影響する局面だと感じました。

 

「発達障がい児応援団」を謳いながらも、壮絶なイジメに苦しんでいる親子の話すらも聞けず、寄り添う立場を忘れてしまった、私にとって原点であるはずの場所。

そこがブレ始めている今の状況では、もはやこれ以上、私がその団体に所属している意味すらないようにも思えます。

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なんだか、心にポッカリと穴が開いてしまった…そんな気持ちで過ごしている夜です。