樹安の日々インスピレーション

日々の生活の中での気づきを、徒然なるままに

亡き人を想う

うちの子供たちが好きなEテレの子ども番組、私も中身はお子ちゃまなので、一緒に楽しく見ています。

中でも私が好きなのは「にほんごであそぼ」という、ちょっとだけ大人向けの番組。いにしえの日本語や文学作品、詩などをわかりやすく紹介してくれるエンターテイメント番組です。

 

その中に出てくる、うなりやベベンさん。愉快な格好をして三味線の弾き語りをする小太りのおじさんなのですが、その正体は浪曲師の国本武春さんです。(正体は内緒、ということになっています。)

このベベンさん、愉快な見た目に反して、昔からある詩の数々に素敵な曲をつけて、情感たっぷりに歌い上げます。「こころよ」「ベベンの方丈記」「ベベンの平家物語」などなど…どれも心に残る、素敵なメロディと歌。私は密かにファンなのです。

 

ところが…国本武春さんがご病気になられて、数年前に亡くなってしまったのです。つまり、うなりやベベンさんも亡くなってしまった…のです。

しかし「にほんごであそぼ」は子ども番組であり、ベベンさんが亡くなってしまったと知った子どもたちは、きっとショックを受けてしまうに違いない…

さて、にほんごであそぼの番組内でどう対応したのかというと…何と、ベベン人形が登場したのです!ベベン人形が歌うことで、ベベンさんが作った数々の名曲がお蔵入りすることなく、今も番組内で聴いて楽しむことができます。

そして「にほんごであそぼ」は時々、全国各地で元気コンサートを行います。出演している大人も子供も、それぞれ愉快な扮装をして歌い踊るのですが、今もベベンさんの作った歌がみんなの手で歌い継がれています。そこに流れる温かい空気、ベベンさんへのリスペクトの気持ち、今もそこにベベンさんがいるような…そんな温かさを感じられます。

 

今もなお、番組内で国本武春さん(=うなりやベベンさん)が亡くなられたことには触れていません。ベベンさんの歌もずっと変わらず歌い継がれています。

ベベンさんの新曲が聞けないのはものすごく残念なことですが、ベベンさんの思いを今もみんなで受け継いでいることは、ファンとしてものすごくうれしく思います。

亡き人を想う。その方法はいろいろあると思いますが、この番組に関わるみなさんのベベンさんへの想いは、見ているこちらにもしっかりと伝わってきます。

ベベンさん、空の向こうで…今も三味線を弾いて歌っているのかもしれませんね。

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