私が敬愛するアーティストたちに共通する特徴…深い闇を抱えていることです。学生時代にハマった中村一義さんも、今ハマっている星野源さんも、かなりの闇を抱えていることが、彼らの楽曲から想像できます。
星野源さんは、逃げ恥出演&主題歌大ヒットをきっかけに、一躍ポップスターとなりました。今も俳優、音楽家、文筆家とマルチに活躍されています。
最近の星野さん。ポップやソウルな面を全面に押し出していて、以前のような闇を感じさせる楽曲が減ってきていました。どんな曲でも彼の作る音楽に変わりはないので、細部までこだわった音作りとか、新たな世界にどんどんチャレンジする姿勢とかは、ファンとしてもうれしく思う一方…ちょっとだけ、置いてけぼりをくらったような寂しさも感じていました。
でも、最新曲の「創造」を聞いて思ったこと。音作りは今回も新たなチャレンジをどんどん取り入れていましたが、歌っている内容は…過去いちばんに、闇!久しぶりに闇全開、キター!
では、どんなことを歌っているのか?というと…
僕は生まれ変わった 幾度目の始まりは
澱むこの世界で 遊ぶためにある
配られた花 手札を握り 変える 運命を
あぶれては はみ出した 世をずらせば真ん中
(途中略)
進化を君に 外れ者に授ける
死の淵から帰った 生かされたこの意味は
命と共に 遊ぶことにある
僕らふざけた生き物 脆く ひしゃげた文明の
制約の屋内で 気をずらして外側
(創造/星野源)
…今回掲載した部分はサビではない、というのもありますが…なかなかの闇、ですよね。
自分が今まで抱えてきたもの。あぶれて、はみ出してきた人生を、自らが発信することによって、一般社会の方をずらして真ん中に持ってきた…と。
一度は病で生死の境を彷徨ったこともある星野さん。そんな想いも今回歌詞に載せています。
先日放送された「マツコ会議」でのマツコさんとの対談でも、互いの闇をさらけ出していた星野さんとマツコさん。
自分の中にある闇を、恐れることなく出せるって、やっぱりすごいことだと思うんですよ。その部分では先駆者といえる星野さん。闇を抱えて生きている私たちの想いを代弁してくれているような、だから多くの人が星野さんの音楽に惹きつけられるんですよね。
もちろん、星野さん自身はどんどん進化していく人だと思いますし、こちらが勝手に置いてけぼりになった気持ちになっても、星野さんの知ったこっちゃないのもわかっています。
でも、たまにこうして、闇全開の曲を出してくれると…やっぱり私はうれしいんですよね。