先日、深夜のドキュメンタリー番組でやっていた「前向き」不登校のお話。
その家族には、小学6年生の男の子と、小学3年生の女の子がいる。特に6年生の男の子は、毎日学校へ「行かなければいけない」ことが、たまらなく苦痛なのだそうだ。
自分が受けたい授業だけ受ける。必要ない授業は受けたくない。
親御さんは、彼の「意志」を尊重している。なので、学校へ行く日もあれば、行かない日もある。
学校へ行かない日。親御さんは、彼をいろいろな場所へと連れて行って、いろいろな体験をさせる。そのために、都会で暮らすことをやめて、田舎へと引っ越しまでしてしまった。
ある日は、川へ行って魚の取り方を教わる。別の日は、イスラム教徒の集まりに参加させてもらう。また別の日は、畑仕事のお手伝いをする。
つまり、彼にたくさんの「体験」という勉強をさせるのだ。
仕事をしている一般的な家庭では、こうはいかないと思うのだが…彼の親御さんは、不登校の子供たちをサポートするNPOを運営しているので、こういう動きが可能なのだ。
また別の日は、同じく不登校である高校生の男の子と、パソコンに向かい合ってプログラミングの勉強をしていた。その高校生は、プログラミングコンテストで入賞歴のある強者なのだそうだ。
学校へ行かないからと言って、友達関係に問題があるわけではない。友達とも普通に遊ぶ。その時に、友達に「コイツ、学校サボってる!」とからかわれるのだが、彼は全力で否定する。
そう、彼は自分の意志を貫いているだけ、なのだ。
3年生の妹も、基本的には彼と共に行動していた。お兄ちゃんが学校へ行かない日は、自分も学校へ行かずに、家族で過ごすことを選んでいた。
でも、新型コロナによるステイホームを経験し、緊急事態宣言が解除になってから…彼女は毎日学校へ行くようになったのだそうだ。
それも、彼女の意志。もちろん親御さんは、彼女の意思を尊重し、学校へと行かせている。
今回の番組の中に、学校関係者は一切出てこなかった。情報保護の意味もあるのだろうが、できれば学校に関わる人たちの意見も聞いてみたかった。
でも、この番組を見て…私はこういう生き方もアリ、だと思った。むしろ、目的もなくダラダラと毎日学校へ行くよりは、彼のように自分の意志で学び方を決めていく方が、大人になってから自分で行動できる人間になる…混沌とした今の世の中を、力強く生き抜いていける、とすら思った。
番組の最後に、彼は学校へ行かないことによる不安も口にしていた。学校へ行かない分、チャンスは奪われてしまうし、全ては自分の責任になってくる。
それでも、今の生活は楽しいし、充実している。やはり毎日学校へ行くのは…耐えられない!と、家族みんなで笑っていた。
今の学校教育。集団で生活し、日々競争し、切磋琢磨しながら学んでいく環境。
今までならば、それでもよかったのかもしれない。
でも、ひとりひとりの生き方が問われている今、これからは彼のような生き方が、もしかしたら主流になっていくのかもしれない。
深夜の時間にたまたま見た番組から、私はとても大切なことを教わった気がした。