「深海」は、今から20年以上も前に発売された、Mr.Childrenのアルバムです。ミスチルの中でもかなり暗ーい雰囲気のアルバムで、聴いているこちらも暗ーい気分になってきます。
Innocent World や Tomorrow Never Knows が大ヒットして、トップミュージシャンの仲間入りを果たしたミスチルのボーカル桜井さんが、世間に求められる音楽と自分が本当にやりたい音楽とのギャップに悩み、鬱とも言える状態で制作した…だからこういう暗い雰囲気のアルバムになった、と当時おっしゃっていました。
このアルバムのシンボルとも言えるのが、深海魚であるシーラカンス。はるか昔の時代から生息していたからか、生きる化石とも言われています。
このアルバムの冒頭の曲がそのまま「シーラカンス」で、最後の曲である「深海」にもシーラカンスが登場します。
シーラカンス 君はまだ深い海の底で静かに生きてるの?
シーラカンス 君はまだ七色に光る海を渡る夢見るの?
ある人は言う 君は滅びたのだと
ある人は言う 根拠もなく生きてると
とはいえ君が この現代に渦巻く
メガやビットの海を 泳いでたとしてもだ
それがなんだって言うのか
何の意味も何の価値もないさ
僕の心の奥深く 深海で君の影揺れる
あどけなかった日の僕は
夢中で君を追いかけて 追いかけてたっけ
シーラカンス これから君はどこへ進むんだい?
シーラカンス これから君はどこへ向かうんだい?
連れてってくれないか
連れ戻してくれないか
僕を、僕も、僕も…
(深海/Mr.Children)
私はなぜか、このふたつの曲が好きで、頭から離れないのです。
描き方は違っても、このふたつの曲に出てくるシーラカンスは、自分の心の中を映し出しています。
シーラカンスは心の奥深く、闇の中を泳いでいたとしても、自分であることには変わりない…たとえ共感は得られなくても、時代遅れであっても、自分の道を信じて歩いていくことに変わりはないのです。
ちなみに、昔大好きだった人とよく行ったもんじゃ焼きのお店で、ずっとこの「深海」のアルバムがBGMで流れていました。恐らくお店の人の趣味だとは思いますが、何とも言えない暗い雰囲気の中で食べるもんじゃ焼き…今も何となく、甘酸っぱい思い出として残っています。